談話室3月

『シリーズ・原子番号12・Mg』

原子番号12・Mg・マグネシウムMagnesium・原子量24.31。周期表第2族、融点650℃、沸点1090℃、比重 1.741。天然には炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩などとして多量に産する。地殻存在量 2.33%、海水中の含有量 1290 mg/l 。植物の葉緑体中にはクロロフィルとして存在する。マグネシウムの化合物は古くから知られていたが、1808年にイギリスの H.デービーによって単体金属が得られた。工業的には塩化物の溶融塩電解法よって製錬される。金属は銀白色の軽金属。マグネシウム合金はすぐれた可削性、軽さ、強度を持ち構造材料として需要が多く、航空機をはじめ各種輸送機械、紡績、光学器械などに用いられるほか、還元冶金電気防食などにも応用されている。動物の生理にも重要な役割を果し、人体には約25g含まれ、骨にその60~65%が存在し、残りは筋肉、脳、神経、体液などに分布している。体内での生理作用は、骨や歯を形成し、多くの酵素の成分として糖質・脂質の代謝などにおける酵素作用の活性化やタンパク質の合成などに関与している。カルシウムと似た作用があり、とくに骨格においてはカルシウムと拮抗性があることが知られている。食品には動植物全体に分布し、普通の食事から必要な量がほぼ摂れている。コンブ、ホウレンソウ、ヒジキなどに多く含まれ「日本人の食事摂取基準」には、食事からとるべき推奨量が、また、食品以外からの摂取量の上限量が設定されている。成人1日あたりの推奨量は男性320~370mg、女性270~290mg。欠乏症は血中脂質の上昇、食欲不振、筋肉痛などがあるが、腎機能障害によって過剰症が発症することがある。制酸・緩下剤の酸化マグネシウムは、長期間使用すると高マグネシウム血症を起こす事があるので、定期的に血清マグネシウム値を測定するのが望ましい。良好な便通には、食生活と生活習慣が大いに関係している。

参考資料・化学辞典、大辞泉、朝日新聞社メディアビジネス局〔K〕

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