談話室1月

『シリーズ・原子番号11・Na』

原子番号11・Na・ナトリウムSodium・原子量22.99。融点97.8℃,沸点882.9℃。周期表第1族に属し、アルカリ金属元素の一つ。Natriumという名称は天然ソーダやアルカリ塩を意味するギリシア語のnitronに由来し、sodiumは炭酸ナトリウムが古くからソーダsodaと呼ばれていたことに基づいて命名された。各種の化合物として天然に多量に産出する。地殻平均含有量は2.36%、海水中の存在量は10.5g/l 。1807年イギリスの化学者 H.デービーにより、水酸化ナトリウムの溶融塩電解によって金属ナトリウムが単離された。ナトリウムは、化合物の形では人類文明の黎明期からすでに利用されていた。5000年も前にエジプト人はソーダ湖から炭酸ナトリウム(ソーダ)を採取し、砂や貝殻と混ぜてガラスをつくっていた。この物質は古くから清浄剤や洗剤としても用いられており、また塩化ナトリウムは食塩の名で食品の保存や調味料として使われてきた。人体に約0.15%含まれ、無機質の元素のなかではカルシウム、リン、カリウム、塩素、マグネシウムなどと同様に比較的多く存在するものである。体内では細胞外液におもに存在し、細胞内液には少ない。ナトリウムは細胞外液の分量の維持、浸透圧の調整、酸・塩基平衡の維持などの重要な働きをしている。また、神経や筋肉の刺激を伝達する機能に必要な成分である。ナトリウムが細胞外液の調節をしているのに対し、カリウムは細胞内液の各種の調節に関係している。その境界である細胞膜では膜の内外でナトリウムとカリウムをそれぞれ適度な濃度に保っている。この仕組みはナトリウムポンプと考えられている。ナトリウムはこのように一定量存在することが大切であるが、長期間食事から塩として摂取する量が多い場合、ナトリウム過剰の害が問題となっている。とくに、高血圧症や胃がんの原因となる。そのため厚生労働省は、「日本人の食事摂取基準」で、12歳以上は食塩としての摂取目標量を1日に10g未満と設定している。なおWHO(世界保健機関)では1日6g以下が適当としている。漬物が美味しい時期である。体内には大切な元素であるが、塩分の摂り過ぎには注意したいですね。[K]
参考資料・化学辞典、大辞泉、朝日新聞社メディアビジネス局

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